雨乞いと龍神伝説

 JR岡崎駅前東地区の町は、今では多くのビルが立ち並ぶ岡崎の玄関口です。その昔は字東ノ郷を中心とする羽根村の一集落でした。

 羽根村は、西の川寄りの字西ノ郷から東の山寄りの字鰻池に及ぶ東西3㎞にも及ぶ広い台地上の村でした。

 村人は台地上に水田を開くために、東の谷合にいくつものため池を造りました。羽根大池や長池などです。ため池のお陰で、田んぼは水に不自由なく実りが叶いました。しかし、池の水枯れてしまう様な日照りの年は、大変困りました。そうした年は、鰻池の龍神様に雨乞いのお祭りを行って、雨を降らしてもらうことになりました。

 羽根村東端の山奥にあった鰻池は、ため池にたたえる水の湧き出る小さな池です。池のあるじは耳のある大鰻でした。雨を望む村人は羽根のお宮さん(稲荷神社)で雨乞い石にお祈りをして、鉦・太鼓の行列で鰻池に向かいました。鰻池の水面にお酒を入れた小袋を吊るしたご幣を立てお祈りをしました。大鰻は酒が好きで、何とかお酒を飲もうと飛び跳ねます。

 大鰻はやがて稲光とともに龍神様に変身し、鰻池の天空に現れどっと雨を降らせました。

 羽根のお宮さんの弁天池から鰻池までは、羽根村の地中を水路つながれていると言われています。普段から龍神様はこの水路を行き来しているとも言われています。さらに、鰻池はは乙川の竜宮淵(岡町)にもつながっているというのです。

 明治の時代となり、羽根村に岡崎駅が出来ました。駅前は町となり、今では羽根村の水田はほとんど無くなりました。ため池も水害に備えた調整池になりました。

 しかし羽根の龍神様は今でも、天空から羽根村や駅前地区の安穏を見守っています。


最近は昭和四十七年の夏に雨乞い神事をおこなった記録があります。